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大和神流忍体“操術”
肩の力みを抜く・脱力

必要最小限の力を使う

単純に「脱力する」のではなく、必要最小限の力を使って「肩の力み = 無駄な力」が抜け四肢・体幹が連係する身体状態を作り出すための「手腕の神経作用(特に反射)」を有効活用しましょう。

脱力に関する注意点

身体操作において、言葉による弊害(身体への負担・故障リスクの増加等)を被り易いものとして「脱力」が挙げられます。
理由は簡単、スポーツや武道などの身体動作において重要とされる【脱力】は、一般的な言葉の意味とは異なるからです。

「脱力」の一般的な言葉の意味:
「体から力が抜けること、またそれによりぐったりしてしまうこと」
「気力や意欲が衰えること」
「締まりや緊張感がなくなること」等

スポーツや武道においての「脱力」は「肩の力(主に伸筋に係る神経活動)や余計な力みを抜く。」ということです。
身体の重要な筋収縮を止め、あって然るべき “身体の締まり” をも解いてしまうことではありません。

たとえば、スポーツ・武道等の試合中にすぐに動ける体勢で構えている場合を考えて下さい。

監督・コーチ等から「もっと肩の力を抜け! 脱力しろ!」と言われたからといって、【筋収縮を解いて両腕をだらんと下げてしまう(構えを崩す)】ような者はまずいないでしょう。
通常は【(構えたまま)余計な力みを抜く】はずです。

そもそも、脳は基本的には「力を【抜け】」という命令ができません。

「強い力を出した状態からそれを弱められるから、脳は力を【抜け】という命令ができる!」
と思えるかもしれませんが、実はそうではありません。実際は「 “弱” の目盛りの力を出せ!」と命令しているのです。

筋肉が収縮している以上、当然神経細胞は電気的興奮状態 = ON です。
※ 静止状態でも筋電位は生じる(= 細胞内が細胞外に対し約60~70mV マイナス)。

脳からの電気信号のスイッチはONかOFFの二通り

ご存じのように、身体には下記のような「常に生じている筋収縮等(= 筋腱骨膜等の緊張・弛緩)」があります。

  1. 呼吸・拍動等、“生命維持活動” に関与する筋収縮等
  2. 抗重力筋等、“姿勢保持” に関与する筋収縮等
  3. その他の反応等

以上を踏まえ、【筋収縮を止めてしまう脱力】で四肢・体幹の連係を損なわないよう気をつけましょう。

チーター・猫・人の赤子の立甲時、すなわち、地に前足(手)をついて体重を乗せ前に進む時には必ず「把握動作に係る筋・神経活動」が生じます。
肩甲胸郭関節の関与筋群は握力と正の相関があるため(日本理学療法学術大会 抄録集)、チーター等の立甲時には必ず「肩甲胸郭関節関与筋がしっかりと活動」し、これによって肩甲骨が安定します。
つまり、チーターや猫・赤子の「立甲」は、前鋸筋麻痺等が原因とされる翼状肩甲などの疾患によって「肩甲骨が立つ」状態とは全く異なる身体状態です。

スポーツや武道などにおける脱力は「必要最小限の力を使う」ことであり、必要な力まで抜いてしまうことではありません。
必要な力を使っているからこそ、手腕の運動全般に関与する回旋筋腱板(ローテーターカフ)も円滑に作用することになるのです。
 回旋筋腱板の円滑な動作には「肩甲骨の安定」が不可欠です。

肩こりの解消

肩こりは「万病のもと」といわれています。
肩の痛みや不快感だけにとどまらず、頭痛や眼精疲労、吐き気やめまい、自律神経の乱れなどを引き起こすなどして睡眠の質を低下させ、身体のあらゆるパフォーマンスを低下させることとなります。

慢性的な肩こりは、血流を阻害して脳への酸素供給に影響を及ぼし、集中力・記憶力低下などの認知機能の低下を引き起こす可能性もあります。
また、脳へのストレスから気分の落ち込みや倦怠感にも繋がることとなるため、適度な運動やストレッチなどで肩周りの血流を改善し、リラックスさせることが重要になります。

子供の肩こりには要注意です。

姿勢の悪化や血行不良、視力の著しい低下、自律神経の乱れからくる集中力低下やイライラ、疲労感、学習意欲の低下など、子供の知能や発達にも悪影響を及ぼします。

一昔前であれば、家や学校・外において、両親や学校の先生、周りの大人たちが子供の姿勢を注意するなどしてそういった原因を減じてくれていましたが、それもなくなってしまいました。
そのため、幼い頃からのスマホ等の長時間使用によって肩こりが慢性化し、上記に挙げたような症状等に悩まされる子供が増加しています。

老若男女問わず、明るい未来のためにも肩こりを解消する術を身につけておくとよいです。

肩こりの解消・改善のための運動をいくつか見ておきましょう。

チーターの立甲

次は、見事な立甲をするチーター・猫などがどのような「力」を使っているのかを確認し、基本的な知識を押さえておきましょう。
チーターの立甲に関して確認した後、人が「必要最小限の力を使う」ことで「どうやって肩の力みを抜いているのか」を学べば、同様の「力」を扱えるようになります。
なぜなら、哺乳類の前肢後肢は、各々の生態に適応した形態をとってはいてもどの種でも同じ基本構造を持っているからです。

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